Vintage article series: aperitif 20020103 – 20021205
ワーグナーをフルトベングラーで。10年前だったら絶対に聞かなかったぞこんなもの。鳴らしているのは例の、小学生の頃に田んぼの畦道で拾った真空管でこしらえたアンプだ。それにしてもこの真空管たちはかなりの果報者である。わたしでなくて悪ガキに拾われてたら、次の瞬間に癇癪玉の代わりにされて道にたたきつけられ、確実にこの世から消えていたはずだ。でも21世紀まで生き延びたおかげてこんな大仰な、まるで似合わない音楽を鳴らされる羽目に陥ってしまったとも言える。何と言っても広沢虎造とか東海林太郎とかを現役で鳴らしていた頃の純国産の管なのだ。まあこのワーグナーだって1947年録音だから、少なくとも時代的にはいい勝負ではある。こいつでジャーマントランス系テクノを鳴らそうっていう方がよっぽど似合わない。
WCP(WWW Collaboration Project) [Broken Link : http://nmrt.jpn.org/wcp/] の第4回(高橋明洋 VS 氏家岳寛)が1時間前ほどに終了。コラボレーションはやはり、終了直前の30分が面白いということを再確認する。要は時間の共有がもたらす場の立ち上がりが面白いということ。あるいはチャットやらテレフォンセックスやらといったような無為な現象と同類項なのかもしれないが、それで片づけてしまうのはあまりに乱暴だ。では限定された時間における微小なシンクロニシティの重なりというわけのわからない説明はどうだろう。同じ時刻に別の場所で別の意志によって行われた行為や思考が、電化されたコミュニケーション回路によって結びつけられ、傍観したり介入したりすることができる、というぐちゃぐちゃな意志交換の重なり合い。それを音声や文字といった単独メディアではなく、文字に画像が結びついたものを使ってやってるのがウェブコラボレーションであるということだ。終了30分前という時間限定が導入されて熱狂を呼ぶという構造はシンクロニシティの意図的パワーアップなのだな。

佐藤淳一【カワウソ写真家】 [著者情報] 実はカワウソに限らない写真家。平成19年度宮城県芸術選奨受賞。主な著書に『恋する水門』(2007年/BNN新社)、『ドボク・サミット』(共著/2009年/武蔵野美術大学出版局)、『カワウソ』(2010年/東京書籍)他がある。展覧会は『ニーダーフィノウの鉄の骨』(2006年/Gallery Maki)、『アートみやぎ2007』(2007年/宮城県美術館)、『カワウソおもろいねん!』(2013年/海遊館)、『大都会の野生カワウソ』(2018年/埼玉こども動物自然公園)他、1995年より多数開催。雑誌『ワンダーJAPAN』、『土木技術』、スポーツ紙『東京スポーツ』で写真と文を連載。『タモリ倶楽部』(2008年/テレビ朝日)、『出没!アド街ック天国』(2012年/テレビ東京)等に出演。「生きることは、見ること」が信条。芸術と研究を足してサブカルで割った「リサーチ・エンタテインメントとしての写真」を専門とし、土木構造物と野生動物という、かけ離れたふたつの領域で仕事してきました。
