未生成の低温状態

Vintage article series: aperitif 20020103 – 20021205

一枚一枚の写真に意味がある、という状態に腹が立つようになってから、随分長い時間が経過した。では集合したイメージに意味があることに、腹は立たなかったのか。今にして考えると、やはり腹が立っているようだ。意味がむくむくと現れてくることが、どうにもやりきれない。20世紀と21世紀の境界近傍領域の「Days」を2年分ほどプリントしてみたら、そのうち自分に腹が立ってきたのだ。メロディのはっきりした曲を耳にしたときに感じる気恥ずかしさのような、人に気取られることに対する軽い恐怖感。自分では意味の保留、あるいは未生成の低温状態の冷ややかさをキープしてきたつもりが、俯瞰して見ると意味の島が見えてくるのだ。
日常そのものであるがゆえにもっとも意味を感じることがない。しかし状況によって強烈に意味がまとわりつくもの。
将来わたしが「Days」を終えた日の翌日以降も、日付は以前と変わりなく刻まれていくことを考えてみる。その想像の先にある茫漠さこそが、プロジェクトを動かし続ける燃料として変換されるものだ。わたしは何も考えずに日々その変換を続けていけばよい。

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