Vintage article series: aperitif 20020103 – 20021205
自分の展覧会でもないのに、終わると疲れが出る。ちょっとたちの悪い疲れ。疲れの質が違う感じだ。自分の展覧会が終わったあとの疲れの方がまだマシかもしれない。
気持ちに穴の開いたような時には、河原温の図録を眺めることが多い。面白いことに河原の作品は一応物体として結実しているにもかかわらず、所有欲を全く刺激しない。一点や二点の作品を所有したところで、河原の茫漠とした作品世界を自分の中に取り込んで愛玩することなどできるはずもない。だから図録で十分、あるいは見た、という経験だけで十分なのだ。そう思わせる強さが頼もしい。そういえばこのフランクフルト現代美術館で買った図録を見ていて以前気がついたこと。河原はバイオグラフィまでも作品領域の中に組み込んでいる。展覧会のオープニングの日なのかどうだかわからないが、作家履歴のページに項目はたったのひとつだけで、それは(1991年6月6日)21348日と、ドイツ語、フランス語、英語で書いてあるのだ。

佐藤淳一【カワウソ写真家】 [著者情報] 実はカワウソに限らない写真家。平成19年度宮城県芸術選奨受賞。主な著書に『恋する水門』(2007年/BNN新社)、『ドボク・サミット』(共著/2009年/武蔵野美術大学出版局)、『カワウソ』(2010年/東京書籍)他がある。展覧会は『ニーダーフィノウの鉄の骨』(2006年/Gallery Maki)、『アートみやぎ2007』(2007年/宮城県美術館)、『カワウソおもろいねん!』(2013年/海遊館)、『大都会の野生カワウソ』(2018年/埼玉こども動物自然公園)他、1995年より多数開催。雑誌『ワンダーJAPAN』、『土木技術』、スポーツ紙『東京スポーツ』で写真と文を連載。『タモリ倶楽部』(2008年/テレビ朝日)、『出没!アド街ック天国』(2012年/テレビ東京)等に出演。芸術と研究を足してサブカルで割った「リサーチ・エンタテインメントとしての写真」を専門とし、土木構造物と野生動物という、かけ離れたふたつの領域で仕事してきました。
