ゼミ展終了

Vintage article series: aperitif 20020103 – 20021205

問題はウェブ空間と現実空間をどうやって共存させるか、という点に尽きる。ウェブだけでは強度が足りない。では現実空間で無心にがんばっていればそれでいいのかというと、やはりそこには何かしらのしらじらしさが漂う。無心の行為に単純に感動してしまえるほど、われわれは素朴ではなくなってしまっている。ウェブの存在を全く無視した表現活動はもはや考えにくい。すべての表現活動は、他の人に何らかの情報を伝える行為である以上、その伝達媒体の変化という現象に無関係ではいられないからだ。
ところで、突然ではあるが人間はオカルトがないと生きていけない。今のデジタル環境で欠けているものは実はその部分だったりする。オカルトというと何だかマガマガしい感じがするので表現にまつわる神秘性、とでもしておいたほうがいいのかもしれない。画像でも音でも想像しやすい方を想像してもらえばいいのだが、とにかくデジタル化によってノイズレベルが下がったことにより、いままでもやもやーっと存在していた闇が退行した。すると今まで神秘と思われていた現象の化けの皮がはがれ落ちることになる。しかし闇のない論理だけの清明なデジタル世界では、人間は基本的に、もたない。そこで再びオカルトを導入することになるのである。デジタル時代の表現というのは、オカルトの導入方法が今までとは違ってくるはずなのだ。きっとそこが突破口だ。

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