Vintage article series: Humdrum 19971020 – 19991231
●最近ずっと聴いていたCD。
1・高橋悠治リアルタイム4 糸の歯車 (FONTEC FOCD3156)
2・スンダ音楽の極致 (JVC VICG-5264)
3・GREN BRANCA / SYMPHONY NO.3 GLORIA (ATAVISTIC ALP08)
4・MESSIEN – VISIONS DE L’AMEN / PETER SERKIN & YUJI TAKAHASHI (BMG BVCC-7426)
5・KACAPI SULING – CINTA / L.S.GELIK (RICE GNR-003)
若い頃の高橋悠治の才気あふれる演奏[4]と、近年の抑制され冷たく乾いた叙情性を感じさせる曲[1]と、同時に聴いている。さらに9月の東京オペラシティのオープニングシリーズを聴きに行ったときに彼が指し示してくれたのはスンダ音階で、さっそくJVCのワールドサウンズシリーズから1枚[2]。これは良かった。スンダ(西ジャワ)の音階はペロッグとスレンドロという二つがあって、このうちペロッグは琉球音階とそっくりなのである。カチャッピという琴とスリンという竹の縦笛による小編成の合奏はガムランより現実味のある音楽で、日常的に聴くことができる。JVC盤は伝統的な演奏だが、街頭でカセット売りされるような現在進行形のカチャッピ・スリンを紹介してくれるのが[5]。わずかに西欧的味付けのされた奏法に最初違和感があったが慣れれば快適。それはこのスタイルが今に生きていることの何よりの証拠だろう。純正調という調律に興味があったのでハリー・パーチを聴いてみたがピンと来なかった。しかしグレン・ブランカ[3]は面白かった。近代の12平均律というのは単なる支配的な〈制度〉でしかなかったのだなあ。で、1オクターブをどうやって割るか、という音階のシステムについて書かれたものを読み出すはめになった。


