Vintage article series: Humdrum 19971020 – 19991231

「撮影者」の役割というのは本人が自覚的であろうがなかろうが、鑑賞者の目の延長であることに終始するのであって、これはネットワーク上で写真画像が流通するようになった現在においても、いささかも変化していない。いやむしろ「撮影者」の対象事物の取捨選択という行為こそが、撮影行為の根幹であることがいよいよ明確になった観すらある。ロボットカメラの画像が初め面白く、やがてつまらなく見えてくるのを考えてみればよい。ロボットカメラが鑑賞者の目の延長であるように見えるのは、その機械的システム的な構造のみなのである。撮影者の主観が操作していると思われている対象事物の取捨選択という行為は、実は恣意的な自由意志によってなされているわけではなく、大げさに言えば時代の要請、小さく言えば鑑賞者と撮影者の興味の一致、そういった無意識的な制御の下にあるのではないか。そんなことをしきりに考えているのは、5月に始めたデジタルカメラを使ってひたすら水門の姿を撮っては載せるというプロジェクトが、様々なフィードバックを得るようになってきたためでもある。水門プロジェクトは、どうも単なる趣味的な余興では終わらなくなってしまったようだ。

佐藤淳一【カワウソ写真家】 [著者情報] 実はカワウソに限らない写真家。平成19年度宮城県芸術選奨受賞。主な著書に『恋する水門』(2007年/BNN新社)、『ドボク・サミット』(共著/2009年/武蔵野美術大学出版局)、『カワウソ』(2010年/東京書籍)他がある。展覧会は『ニーダーフィノウの鉄の骨』(2006年/Gallery Maki)、『アートみやぎ2007』(2007年/宮城県美術館)、『カワウソおもろいねん!』(2013年/海遊館)、『大都会の野生カワウソ』(2018年/埼玉こども動物自然公園)他、1995年より多数開催。雑誌『ワンダーJAPAN』、『土木技術』、スポーツ紙『東京スポーツ』で写真と文を連載。『タモリ倶楽部』(2008年/テレビ朝日)、『出没!アド街ック天国』(2012年/テレビ東京)等に出演。芸術と研究を足してサブカルで割った「リサーチ・エンタテインメントとしての写真」を専門とし、土木構造物と野生動物という、かけ離れたふたつの領域で仕事してきました。
