
海門橋
先日、水門ツアー中に勝鬨橋を遠くに見ての話なのだけど。かつて橋梁の設計をされていた八馬さんに、「橋もいいんですけど撮りにくくていけませんよ」などと口から出任せに適当なことを言ってしまって、とっても失礼なわたしであった。その反省というわけでもないが、先頃ステキな橋にぶち当たったので、本当に撮りにくいかどうか、試しに撮ってみたりしたのがこれ。
那珂湊から大洗に渡る橋で、真ん中部分だけがトラス(か?)になっている。何といっても色が明確であり頼もしい限りである。「やっぱ航路だし、船が当たると危険だし、赤でしょう」とばかりに、逃げも隠れもコジャレもしない赤塗りの橋だ。これには強くドボクマインドを感じる。つまり機能性優先というポリシーがわかりやすく見て取れる。
おまえは赤い構造物なら何でもいいんじゃないか、という声が聞こえて来そうだが、その通りです。赤いものに反応するなどというのはウシ並みの頭脳ではないのか、などと言われて開き直っているというわけでもない。実は赤という色はスポットカラーとして使う場合はちょっとした出来心やシャレ心で、ということで適当に受け流せるのだが、大きな面積として使ったらだいたいにおいて「これは危険かもしれないので寄るな」みたいな機能的特徴を確信犯的に誇示していることが多い。だからある程度以上大きくて赤いものは機能性構造物とみなせるのではないか。すげえ粗雑な理屈(笑)。
ところでこの写真をじっと見てたら、何で橋の撮影が難しいと思ってたか、何となくわかってきた。橋の写真というのはもう自動的にフォトジェニックになっちゃうのだ。空や水面なんかが画面に過剰に入り込み、イヤでも風景写真的なまとまり方に傾く。
橋を水門のように「即物的に」撮るのはやはり難しい。だからわたしは橋は撮れないなあと思っていたわけだ。

佐藤淳一【カワウソ写真家】 [著者情報] 実はカワウソに限らない写真家。平成19年度宮城県芸術選奨受賞。主な著書に『恋する水門』(2007年/BNN新社)、『ドボク・サミット』(共著/2009年/武蔵野美術大学出版局)、『カワウソ』(2010年/東京書籍)他がある。展覧会は『ニーダーフィノウの鉄の骨』(2006年/Gallery Maki)、『アートみやぎ2007』(2007年/宮城県美術館)、『カワウソおもろいねん!』(2013年/海遊館)、『大都会の野生カワウソ』(2018年/埼玉こども動物自然公園)他、1995年より多数開催。雑誌『ワンダーJAPAN』、『土木技術』、スポーツ紙『東京スポーツ』で写真と文を連載。『タモリ倶楽部』(2008年/テレビ朝日)、『出没!アド街ック天国』(2012年/テレビ東京)等に出演。「生きることは、見ること」が信条。芸術と研究を足してサブカルで割った「リサーチ・エンタテインメントとしての写真」を専門とし、土木構造物と野生動物という、かけ離れたふたつの領域で仕事してきました。

コメント
【追記】
八馬さんに聞いてみたら、やっぱりトラス橋じゃなくてアーチ橋の一種だそうだ。アーチ橋って古式ゆかしい石造りのメガネ橋みたいのを思い浮かべるけど、橋の上にアーチを作って、桁を引っ張るのもアーチといえば確かにアーチだ。中間部分だけがアーチなのは、径間を稼ぐためらしい。なるほど面白い。橋もちょっと勉強してみたくなってきた。
昨日はわざわざお越しくださり、ありがとうございました。
この橋は、桁だけだと不安だからアーチでサポートしようという構造形式の橋です。アーチがメインの部材ではないので、結構貧弱に見えます。
橋は面白いですよ。特に、構造力学からの視線で見たときに。結果的にフォトジェニックになっちゃうところも、個人的には好きです。
八馬さん、土曜は素晴らしいシンポジウムで刺激受けました。
> アーチがメインの部材ではないので、結構貧弱に見えます。
おお、確かにそんな見え方しますよ!
この「ちょっとだけ強度アップしてみました感」が、何だかせつなくて、ホレ直しました。この子、なかなかいい橋だったんだ。前に那珂湊に来た時から実はキミのことが気になっていたんだ、みたいでドキドキ・・・
構造力学って断面二次モーメントとかカンチレバーとか出てくるやつですね。多分勉強したはずですが、全部脳から消えました。そうか、土木だったら楽しくやれたのか、ってもう遅いですか。