Vintage article series: Humdrum 19971020 – 19991231

●Webというものがわかりかけたような気がしていたのだが、ちょっと気をそらすとすぐにまた、わからなくなってしまう。もっと正確に言うと、Internetとのフルタイムのつきあい、すなわち絶え間のない情報の入出力(いやかなりバランスを欠いた超過剰入力だ)という状態が人間にとって本当に幸福をもたらすのかどうか、がわからなくなってしまう。どうもそのあたりの自分の確信というものが実は、無根拠なやや感情的なものであったことに気が付いてしまうのだ。遮断する、感度を下げる、出力量を増やして収支バランスを回復する・・・いろいろと対策は考えられるが決定打は、もちろんない。もしかすると単に身体性能の問題なのかもしれない。紙の上に印刷された文字を、あたかも米粒を一粒一粒、箸で拾うがごとく読んで育った世代のわたしたちにとって、このターボチャージ状態を耐えることが果たしてできるのかどうか。生まれたときからコンピュータがあって、TVゲームで育った世代とはその領域の身体性能は違っていて当然だろう。またしても境界線世代の悲哀。

佐藤淳一【カワウソ写真家】 [著者情報] 実はカワウソに限らない写真家。平成19年度宮城県芸術選奨受賞。主な著書に『恋する水門』(2007年/BNN新社)、『ドボク・サミット』(共著/2009年/武蔵野美術大学出版局)、『カワウソ』(2010年/東京書籍)他がある。展覧会は『ニーダーフィノウの鉄の骨』(2006年/Gallery Maki)、『アートみやぎ2007』(2007年/宮城県美術館)、『カワウソおもろいねん!』(2013年/海遊館)、『大都会の野生カワウソ』(2018年/埼玉こども動物自然公園)他、1995年より多数開催。雑誌『ワンダーJAPAN』、『土木技術』、スポーツ紙『東京スポーツ』で写真と文を連載。『タモリ倶楽部』(2008年/テレビ朝日)、『出没!アド街ック天国』(2012年/テレビ東京)等に出演。「生きることは、見ること」が信条。芸術と研究を足してサブカルで割った「リサーチ・エンタテインメントとしての写真」を専門とし、土木構造物と野生動物という、かけ離れたふたつの領域で仕事してきました。
