2002.05.06

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photo and text : Sato Jun Ichi
●一昔前に比べて、ネット上で得られる水門の情報がケタ違いに多くなっている。「○△水門」で検索をかければたちどころに何百という情報が釣れるが、その多くはくだらない釣り場自慢情報である。別に釣りを否定しているわけではない。わたしは幼少の頃から父に連れられては夜釣りに出、太平洋の荒波を頭から浴びせられ育ったクチである●だいたい釣りなんてものは優雅に時間を浪費するためにお魚に遊んでもらうのがそもそもの目的であって、四輪駆動車で徒党を組んでは川岸ぎりぎりまで乗りつけた揚げ句、ひとりあたり何本もの竿を立てて本人は寝椅子で昼寝なんていう乱暴なんだかくそ真面目なんだか怠惰なんだかわからんようなオヤジ暴走行為は、おそらく本来的な意味において釣りではない。第一、水に接する場所は昔からオオヤケのものと決まっておる。竿は一本きりにしてもらわねば邪魔なのである●そういう無粋な連中の情報にまぎれて、お役所の出す水門の情報が見つかったりする。ちょっと前までは広報パンフレットそのまんまの砂を噛むようなページか、あるいは妙なキャラクターが市民に媚びを売る広告代理店の言いなりページばかりだったのが少しずつ変わって来ている。ストレートに管轄下の各水門の役割や特徴を説明してくれていたりするような実用的なのがあって、これは進化である。組織自体は省庁再編で肥大化したはずだが、逆にフロントエンドは小回りが利くようになったものか。理由はわからないがとにかくこの調子で情報公開を進めてほしい●ところでそういうページでは、かつてはなかなか見せてくれなかった水門の写真も出してくれるようになってきた。しかもたいていは竣工写真だから、とびっきりのいい場所から考えられる最高の条件で撮られている。一瞬喜んだのだが、よく考えるとこれって自分の存在意義がおびやかされているのではないか。何しろ全国ネットの大お役所である。誰かがその気になりさえすれば事は簡単だ。全体の予算が巨大なので情報サイトのひとつやふたつ、年度末の余り予算ですぐに作らせることが出来る。つまり中央の号令一下、全国の工事事務所から水門の写真が集められ、あっという間に収録数1000門以上の官製(go.jp)水門写真サイトなんてのが出来るわけだ(笑)。でももしそうなったらわたしのこのつつましい営みは無に帰するなあ。