まるで利根川あたりの堤防のように見える斜面を上りきると、利根川みたいにはるか下の方に水面があるのではなくて、その上りきった高いところにいきなりたっぷりの水があった。どうだ、これがドイツの運河だぞ文句あっか、という圧倒的な存在感である。目指すシフスヘーベヴェルク・ローテンゼーはこの先、ローテン湖のほとりにある。なるほどこの高いところを通る人工のミッテルラント運河から、自然河川であるエルベ川に降りてくるためのエレベータなのだな。

シフスヘーベヴェルクへ向かって運河の側道を歩く。前方に何やら展望塔のようなものが見えてきた。最近できたばかりの「節水槽つきロックゲート」の見学施設のようであった。さっそく上ってみることにする。例によってこの手のものの大好きなドイツ人たちで大にぎわいであった。ロックゲートを背にして家族で記念撮影なんかしてしまっている。本当に変わった人たちだ。何でこんなもの見て楽しいのだろう(自分を棚上げにして考えている)。さてこの新しいロックゲート(シュロイゼ・ローテンゼー)はシフスヘーベヴェルク・ローテンゼーと目的は一緒、つまりシフスヘーベヴェルクのバックアップ的な存在なんだけど、さっきから来る船はみんなこっちを通っており、向こうのシフスヘーベヴェルクは開店休業状態に見える。みんなやはり新しい方を通りたがるのか、あるいは水深の問題なのか、通過所要時間の問題なのか、わからない。展望塔の上から、目指すシフスヘーベヴェルクが寂しげに見えた。



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